マンションの管理組合では、毎月、区分所有者から管理費や修繕積立金を徴収しています。

特に修繕積立金は、将来の大規模修繕工事や設備更新などに備えて長期間積み立てていくため、マンションの規模や築年数によっては、数千万円、場合によっては1億円を超える金額が預金口座に保管されていることもあります。

では、仮にその預金を預けている金融機関が破綻した場合、管理組合のお金は全額戻ってくるのでしょうか。

今回は、意外と見落とされやすい「マンション管理組合の預金とペイオフ(預金保険制度)」について解説します。

預金はすべて全額保護されるわけではない

金融機関が破綻した場合に預金者を保護する仕組みとして「預金保険制度」があります。

利息の付く普通預金や定期預金などの一般預金等については、原則として、

1金融機関につき、預金者1人当たり元本1,000万円までと、破綻日までの利息等

が保護されます。

ここで重要なのは、「1口座につき1,000万円」ではなく、「1金融機関につき預金者1人当たり1,000万円」という点です。

例えば、同じ金融機関のA支店に800万円、B支店に700万円を預けていたとしても、それぞれ1,000万円まで保護されるわけではありません。

同じ金融機関にある預金は合算されるため、このケースでは合計1,500万円のうち、原則として元本1,000万円までとその利息等が保護の対象となります。

なお、1,000万円を超えた部分が、金融機関の破綻によって直ちに全額失われるという意味ではありません。超過部分については、破綻した金融機関の財産状況に応じて支払われることになります。

修繕積立金が5,000万円ならどうなる?

例えば、管理組合が利息の付く普通預金に修繕積立金5,000万円を預けているケースを考えてみます。

その金融機関が破綻した場合、預金保険制度によって原則として保護されるのは、元本1,000万円までと、その利息等です。

残りの4,000万円については、当然に全額保護されるわけではありません。

管理組合にとって修繕積立金は、将来の大規模修繕工事や給排水設備、エレベーターなどの設備更新のために、区分所有者から徴収して積み立てている非常に重要な資金です。

そのため、単に「銀行に預けているから大丈夫」と考えるのではなく、どのような種類の預金で保管しているのかまで確認しておくことが大切です。

「決済用預金」なら全額保護される

そこで知っておきたいのが「決済用預金」です。

預金保険制度上、次の3つの要件を満たす預金が決済用預金として扱われます。

  • 無利息であること
  • 要求払いであること
  • 決済サービスを提供できること

この決済用預金については、金融機関が破綻した場合でも全額が保護されます。

つまり、5,000万円や1億円といった多額の修繕積立金であっても、預金保険制度上の決済用預金に該当する預金であれば、一般預金等に適用される「元本1,000万円まで」という保護上限はありません。

金融機関によって商品名称や取扱いが異なるため、現在利用している口座が決済用預金に該当するかどうか分からない場合には、取引金融機関に確認してみるとよいでしょう。

それなら全部「決済用預金」にすればいい?

安全性という観点では、決済用預金は管理組合にとって非常に分かりやすい選択肢の一つです。

一方で、決済用預金は利息が付かないという特徴があります。

もっとも、管理組合の資金、とりわけ修繕積立金については、利回りだけを追求すればよいものではありません。

将来の大規模修繕工事などに使用することが予定されている大切な資金ですから、

「増やすこと」だけではなく、「安全に保管すること」

も非常に重要です。

また、すべての資金を一つの金融機関に集中させるのではなく、管理組合の資金量や今後予定している工事、資金を使用する時期などを考慮しながら、複数の金融機関に分散して管理する方法も考えられます。

預金以外で管理する方法もある

修繕積立金の管理方法は、銀行預金だけではありません。

例えば、住宅金融支援機構の「マンションすまい・る債」を活用して、将来の修繕工事に備える方法もあります。

管理組合の資金管理を考える際に重要なのは、

「どの商品が一番儲かるか」

だけで判断するのではなく、

安全性・流動性・将来の修繕計画を踏まえて資金の保管方法を検討すること

です。

例えば、数年以内に大規模修繕工事を予定している管理組合と、当面大きな支出を予定していない管理組合では、適切な資金管理の方法も異なってきます。

管理組合で一度確認しておきたいポイント

理事会などの機会に、次のような点を一度確認してみてはいかがでしょうか。

  • 現在の管理費・修繕積立金の預金残高はいくらか
  • どの金融機関に預けているか
  • 普通預金、定期預金、決済用預金など、どの商品で保管しているか
  • 一つの金融機関に多額の資金が集中していないか
  • 現在の預金が預金保険制度上どのように保護されるのか
  • 今後、大規模修繕工事などでいつ、いくら必要になる予定なのか

特に、「昔からこの金融機関を使っているから」「管理会社から案内された口座だから」という理由だけで、長期間そのままになっている場合には、一度確認してみる価値があります。

まとめ

マンション管理組合の預金が1,000万円を超えているからといって、直ちに問題があるわけではありません。

重要なのは、「いくら預けているか」だけではなく、「どの金融機関の、どの種類の預金で保管しているのか」です。

利息の付く普通預金や定期預金などの一般預金等は、原則として1金融機関につき預金者1人当たり元本1,000万円までと、その利息等が保護されます。

一方、一定の要件を満たす決済用預金は全額保護されます。

修繕積立金は、マンションの将来を支える大切な資金です。

長期修繕計画や今後の工事予定を確認すると同時に、「そのお金をどのように保管しているのか」についても、理事会で一度確認してみることをおすすめします。

以上です。更に詳しい情報が知りたい方はエースマンション管理士事務所へお気軽にご相談ください。

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