マンション管理組合を運営していると、避けて通れない問題の一つが「管理費・修繕積立金の滞納」です。
数か月程度の滞納であれば、「そのうち支払ってもらえるだろう」と考えてしまうケースもあります。しかし、滞納を長期間放置してしまうと、管理組合の資金繰りだけでなく、大規模修繕工事やマンションの管理状態にも影響を及ぼす可能性があります。
さらに、国が推進している「マンション管理計画認定制度」でも、修繕積立金の滞納状況は認定基準の一つとなっています。
今回は、マンションにおける管理費・修繕積立金の滞納について、管理組合が知っておきたいポイントを解説します。
管理費と修繕積立金はマンション管理の重要な財源
マンションでは、区分所有者から毎月、管理費や修繕積立金を徴収します。
一般的に管理費は、管理員業務、清掃、共用部分の電気代、設備点検、管理会社への委託費など、日常的なマンション管理に使用されます。
一方、修繕積立金は、外壁改修、防水工事、鉄部塗装、給排水設備、エレベーターなど、将来必要となる大規模な修繕工事のために積み立てておく資金です。
そのため、管理費や修繕積立金の滞納が増えてしまうと、管理組合が予定していた管理や修繕を実施できなくなる可能性があります。
滞納を放置すると何が問題になる?
1.管理組合の資金繰りが悪化する
管理費の滞納が増えると、管理会社への委託費や設備点検費、共用部分の電気料金などを支払うための資金が不足する可能性があります。
1戸あたりの滞納額が小さくても、複数の住戸で長期間続けば、管理組合全体では大きな金額になります。
2.大規模修繕工事の資金が不足する
特に注意したいのが修繕積立金です。
長期修繕計画では必要な修繕工事と費用を想定していても、実際に修繕積立金が入金されていなければ、計画どおりに資金を確保することはできません。
その結果、大規模修繕工事の際に資金が不足し、
- 工事内容を縮小する
- 工事時期を延期する
- 区分所有者から一時金を徴収する
- 金融機関から借入れを行う
といった対応が必要になる場合があります。
3.他の区分所有者との公平性が損なわれる
滞納を放置することで、「払わなくても特に問題にならない」という印象を与えてしまうことも問題です。
毎月きちんと管理費や修繕積立金を支払っている区分所有者からすれば、不公平感が生じるのは当然です。
管理組合としては、特定の滞納者だけを特別扱いするのではなく、一定のルールに基づいて対応していくことが重要です。
管理計画認定制度でも「修繕積立金の滞納」がチェックされる
修繕積立金の滞納は、単なる管理組合内部の問題ではありません。
国土交通省が推進しているマンション管理計画認定制度では、管理組合の経理に関する認定基準の一つとして、修繕積立金の滞納状況が定められています。
現在の認定基準では、
「直前の事業年度の終了日時点における、修繕積立金の3か月以上の滞納額が全体の1割以内であること」
が求められています。
つまり、修繕積立金の滞納が一定以上あるマンションでは、その他の管理状況が良好であったとしても、管理計画認定を取得できない可能性があります。
なお、この「3か月以上」という考え方は、単純に3か月連続で滞納しているかどうかだけを見るものではありません。
国土交通省のQ&Aでは、直前の事業年度において累計3か月分以上の滞納が生じているかを確認するとされています。例えば、隔月で滞納していた場合でも、累計で3か月分以上になれば対象となります。
また、事業年度末までに滞納が解消されている場合には、原則として年度末時点の滞納額には含まれません。
管理計画認定を取得している、あるいは今後取得を検討しているマンションでは、こうした点にも注意する必要があります。
管理組合は滞納にどう対応すればよい?
滞納が発生した場合には、できるだけ早い段階から対応することが重要です。
例えば、次のような段階的な対応が考えられます。
- 管理会社等から電話や書面で督促する
- 理事長名で督促状を送付する
- 内容証明郵便等による請求を検討する
- 必要に応じて弁護士などの専門家へ相談する
- 支払督促や訴訟などの法的手続きを検討する
重要なのは、長期間そのままにしないことです。
滞納期間が長くなるほど金額も大きくなり、滞納者側も一括で支払うことが難しくなります。
「まだ数万円だから」と放置するのではなく、少額のうちから継続的に督促することが、結果として管理組合と滞納者双方の負担を小さくすることにつながります。
理事会で「滞納対応ルール」を決めておくことも重要
実際のマンションでは、理事が交代するたびに滞納への対応方針が変わってしまうことがあります。
そこで、例えば、
- 滞納1か月で電話・書面による督促
- 滞納3か月で理事長名の督促
- 一定期間を超えた場合は法的措置を検討
など、あらかじめ一定の対応ルールを決めておくことも有効です。
管理会社へ管理を委託している場合には、管理委託契約上、どこまで督促業務を行ってもらえるのかについても確認しておきましょう。
「滞納額」だけではなく「滞納の管理状況」も確認する
マンション管理では、「現在いくら滞納があるのか」だけを確認するのでは不十分です。
理事会では定期的に、
- 滞納している住戸数
- 滞納期間
- 滞納金額
- これまでの督促状況
- 今後の対応方針
などを確認することが大切です。
特に長期滞納案件については、「管理会社に任せているから大丈夫」と考えず、理事会として対応状況を把握しておく必要があります。
まとめ
管理費・修繕積立金の滞納は、どのマンションでも起こる可能性があります。
しかし、重要なのは「滞納が発生したこと」よりも、「滞納をそのまま放置しないこと」です。
滞納を長期間放置すると、管理組合の資金繰りや大規模修繕工事に影響するだけでなく、区分所有者間の公平性にも問題が生じます。
また、管理計画認定制度では、修繕積立金について3か月以上の滞納額が全体の1割以内という基準が設けられています。
今後、管理計画認定を取得するマンションが増えていく中で、修繕積立金の滞納管理はこれまで以上に重要になると考えられます。
管理組合としては、滞納額や滞納期間を定期的に確認するとともに、一定のルールを設け、早い段階から対応していくことが大切です。
以上です。更に詳しい情報が知りたい方はエースマンション管理士事務所へお気軽にご相談ください。

