マンションで大規模修繕工事を実施すると、一定の条件を満たす場合に、各区分所有者の固定資産税が減額される制度があります。

この制度は、一般に「マンション長寿命化促進税制」と呼ばれています。

ただし、大規模修繕工事を実施すれば、自動的に減税されるわけではありません。築年数や戸数、工事内容、修繕積立金など、複数の条件を満たす必要があります。

この記事の要点

  • 減額対象は建物部分の固定資産税
  • 減額されるのは工事完了後の翌年度分のみ
  • 築20年以上、10戸以上などの条件がある
  • 原則として2回目以降の大規模修繕工事が対象
  • 申告期限は工事完了後3か月以内

マンション長寿命化促進税制とは

マンション長寿命化促進税制は、適切な修繕積立金の確保と、大規模修繕工事の実施を促すために設けられた制度です。

一定の要件を満たすマンションが、外壁塗装や床防水、屋根防水などの長寿命化工事を実施した場合、各区分所有者の建物部分にかかる固定資産税が減額されます。

現在の制度では、原則として2023年4月1日から2027年3月31日までに対象工事を完了したマンションが対象です。

固定資産税はいくら減額される?

減額割合は、市区町村の条例によって異なります。

例えば、さいたま市では、対象となる住宅部分について、固定資産税が3分の1減額されます。

減額対象となる床面積は、1戸当たり100平方メートル相当分までです。

なお、対象となるのは建物部分の固定資産税です。土地部分の固定資産税や都市計画税は、原則として対象になりません。

減額されるのは翌年度分のみ

この制度による減額は、毎年続くものではありません。

原則として、大規模修繕工事が完了した年の翌年度分に限って適用されます。

対象となるマンションの主な条件

主な条件は次のとおりです。

  • 築後20年以上が経過していること
  • 総戸数が10戸以上であること
  • 過去に長寿命化工事を実施していること
  • 今回が原則として2回目以降の長寿命化工事であること
  • 対象期間内に工事を完了すること
  • 管理計画認定等の条件を満たしていること

築20年以上のマンションであっても、今回が初めての大規模修繕工事である場合は、対象にならない可能性があります。

対象となる工事

一般的な大規模修繕工事であれば、すべて対象になるわけではありません。

原則として、次の3種類の工事をすべて実施する必要があります。

  • 外壁塗装等工事
  • 床防水工事
  • 屋根防水工事

外壁塗装だけ、屋上防水だけといった部分的な工事では、対象にならない可能性があります。

工事名だけで判断せず、工事仕様書や見積書に対象工事が含まれているか確認することが重要です。

対象となるマンションは大きく2種類

1.管理計画認定マンション

地方公共団体から管理計画認定を受けているマンションです。

ただし、認定を取得しているだけでは足りません。

原則として、2021年9月1日以降に、修繕積立金を認定基準未満から基準以上へ引き上げていることが必要です。

そのため、管理計画認定を取得していても、修繕積立金の引上げ要件を満たさない場合は、対象外となる可能性があります。

2.自治体から助言または指導を受けたマンション

管理計画認定を取得していない場合でも、自治体から長期修繕計画に関する助言または指導を受け、その内容に沿って計画を見直したマンションは、対象になる場合があります。

自主的に長期修繕計画を見直しただけではなく、自治体による助言または指導を受けていることが必要です。

申告期限は工事完了後3か月以内

固定資産税の減額を受けるためには、原則として工事完了後3か月以内に、市区町村へ申告する必要があります。

主な必要書類は次のとおりです。

  • 固定資産税の減額申告書
  • 大規模の修繕等証明書
  • 過去工事証明書
  • 修繕積立金引上証明書
  • 管理計画認定通知書

必要書類は、対象となるルートや自治体によって異なります。

工事完了後に初めて準備を始めると、申告期限に間に合わない可能性があるため、工事中から準備しておくことが大切です。

管理組合が事前に確認したいこと

  • 今回が2回目以降の工事に該当するか
  • 過去の工事資料が残っているか
  • 外壁・床・屋根の対象工事が含まれているか
  • 修繕積立金の引上げ要件を満たしているか
  • 証明書を誰に発行してもらうか
  • 理事長による一括申告が可能か

特に、過去の工事請負契約書、仕様書、竣工図書、工事写真、総会議事録などが残っているか確認しておきましょう。

まとめ

マンション長寿命化促進税制では、一定の条件を満たすマンションが大規模修繕工事を実施した場合、建物部分の固定資産税が減額されます。

ただし、すべてのマンションや工事が対象となるわけではありません。

築年数、戸数、過去の工事実績、工事内容、修繕積立金、管理計画認定など、複数の条件を確認する必要があります。

また、申告期限は原則として工事完了後3か月以内です。

大規模修繕工事を予定している管理組合は、着工前の段階から自治体やマンション管理士、建築士などへ相談し、自分たちのマンションが対象となるか確認しておくことをおすすめします。


更に詳しい情報が知りたい方はエースマンション管理士事務所までお気軽にご相談ください。


※本記事は2026年7月時点で公表されている制度内容を基に作成しています。制度の適用期限、減額割合、必要書類、申告方法などは、法令改正や自治体の条例等によって変更される場合があります。実際の手続きについては、マンションが所在する市区町村の固定資産税担当部署へご確認ください。

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