専有部分のリフォームは「各戸の自由」だと思われがちです。ところが、共用部分や他住戸に影響する工事は、理事会の承認が必要です。申請には図面・仕様書・工程表を添付、理事会で承認/不承認を決定、必要に応じて立入調査も可能。この“筋”を外すとトラブルの火種になります。

事例①(成功):床の貼り替え、苦情ゼロで終わった理由

築20年・70戸。Aさんはカーペット→フローリングへ変更希望。外部業者から遮音等級(製品証明)を取り寄せ、施工手順と時間帯・搬出入ルート・養生図までそろえ、工事1か月前に申請。理事会は近隣案内文のドラフトまで添付されていたことを評価し承認。

結果: 工期短縮・苦情ゼロ。掲示板で工程を見える化したことも奏功。

ポイント: “性能証明+運用(騒音・粉塵・動線)の設計図”まで申請書に含める。

事例②(失敗):浴室交換で共用立管に触れ、やり直しに

築30年・90戸。Bさんはユニットバス交換を“軽微な工事”と判断し、申請なしで着工。施工中に共用竪管(排水)と干渉することが判明。理事会は工程停止・是正命令。管理組合立会いの臨時検査で、防火区画の貫通部処理が未計画だったことも発覚。後追い申請+是正工事費は自己負担となり、隣戸への逆流トラブルが引き金で関係悪化。

ポイント: 共用部分に影響するおそれがある工事は事前申請+理事会承認が必須。承認後でも影響が出れば発注者負担で措置という原則。

事例③(失敗):遮音基準の読み違いで“やり直し”

築12年・50戸。Cさんは床の遮音基準を「LL45“以下”ならOK」と解釈して発注。実際は“LL45以上の性能確保”(=数値が小さいほど静か)が規約の意図。完成後に階下から苦情が相次ぎ、管理組合検証→不適合判定で床材張替えのやり直しに。

ポイント: L値は“小さいほど高性能”。表記の違い(L/LL)や試験方法の違いに注意。製品の試験成績書で確認を。

“揉めない”承認フロー(管理組合用)

  1. 事前相談(目安:着工4~6週間前)
  2. 申請受理(4週間前まで)
  3. 技術・リスク審査(理事会)
  4. 承認条件の付与
  5. 住民周知(着工1~2週間前)
  6. 施工中の管理
  7. 竣工確認・記録

申請書・審査の“必須書類チェックリスト”

  • 申請書(署名/押印または電子署名)
  • 図面(平面・断面・位置、貫通部ディテール)
  • 仕様書(材料・型式・等級・施工手順)
  • 工程表(作業区分と騒音作業時間の明示)
  • 製品性能証明(遮音・防火・不燃)
  • 施工体制(責任者、保険(賠償責任))
  • 仮設・養生計画/搬入出ルート
  • 近隣周知文(ドラフト)
  • 共用部使用の申請(エレベーター・資材置場 等)

“要承認”になりやすい代表例

  • 床の仕様変更(カーペット→フローリング)
  • キッチン・浴室のリフォーム(排水・給水経路)
  • 外観や共用部に影響する部材(玄関ドア等)
  • 防火区画の貫通(電気・通信・配管)
  • 窓ガラス・サッシの改修

よくある質問(管理組合向け)

Q1. 軽微な内装でも届出は必要?
A. 騒音・粉塵や業者の出入りがある場合は届出対象とし、掲示・周知を条件化すると実務的です。

Q2. 電子申請・オンライン審査は可能?
A. 規約整備すれば可能。申請・審査・台帳を電子化するとスピードと透明性が向上します。

Q3. 竣工後に苦情が出たら?
A. 承認後でも影響が出た場合は発注者の責任と負担で是正。承認書に明記しておくと揉めにくいです。

以上です。更に詳しい情報が知りたい方はエースマンション管理士事務所へお気軽にお問合せください。

専有部分リフォームで揉めないために——管理組合が押さえるべき承認フロー” に対して1件のコメントがあります。

  1. 板垣文夫 より:

    今管理組合では専有部分修繕工事に対して、承認する工事と届出だけの工事とすみ分けする作業をしています。具体例の羅列でたいおうすべきなのでしょうかん承認工事を理事会承認にするというてつづきを何十年としてこなかったのでルール化に苦労をしています。お知恵をお貸し下さい。

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