マンションの管理組合では、共用部分の火災保険に加入しているケースがほとんどです。しかし、保険は「一度加入したら終わり」ではありません。
近年は自然災害の増加や建築費の上昇などを背景に、マンションの火災保険料も上がる傾向にあります。そのため、保険更新のタイミングで補償内容や保険料を見直すことは、理事会にとって非常に重要です。
この記事では、マンション管理組合の理事会が火災保険を更新する際に確認しておきたいポイントを、分かりやすく解説します。
マンションの火災保険とは?
マンションの火災保険は、主に共用部分の損害を補償する保険です。
例えば、次のような事故が補償対象になります。
- 火災
- 落雷
- 台風・風災
- 水災
- 水漏れ事故
- 外部からの衝突事故
一方で、専有部分の家財や室内設備などは、原則として区分所有者個人が加入する火災保険で備えることになります。つまり、管理組合の火災保険と各戸の火災保険は、それぞれ役割が異なります。
近年の火災保険料値上げ(2024〜2025)の動き
近年、火災保険料は全国的に上昇傾向にあります。マンション管理組合が加入する共用部分の火災保険についても、更新時に保険料が大きく上がるケースが見られるようになっています。
2024年以降、保険料上昇の影響が顕在化
近年の自然災害の増加や、建築費・修繕費の上昇などを背景として、火災保険の料率は見直しが続いてきました。特に2024年以降は、更新時に「前回よりかなり高くなった」と感じる管理組合も少なくありません。
長期契約が満了するタイミングでは、これまでの契約条件と新しい保険料水準との差が一気に表れやすく、管理組合の予算に影響することがあります。
値上げの主な背景
火災保険料が上昇している背景には、主に次のような事情があります。
- 台風・豪雨など自然災害の増加
- 保険金支払い額の増加
- 建築費・修繕費の上昇
- 老朽化した建物のリスク増加
特にマンションでは、水漏れや風災による被害、設備の老朽化に起因する事故なども含めて、保険会社が負担する支払額が増加しやすくなっています。
理事会で見直しを行う重要性
このような状況のため、火災保険は「前年と同じ内容でそのまま更新する」のではなく、理事会で補償内容と保険料のバランスを確認することが重要です。
保険料が上がっているからこそ、必要な補償は確保しつつ、不要な補償が含まれていないか、免責金額の設定は適切か、他社比較の余地がないかなどを丁寧に見直す必要があります。
理事会が確認すべき5つのポイント
1.保険金額は適切か
保険金額は、一般に「建物の再調達価額(同じ建物を再建するために必要な金額)」を基準に設定されます。
ただし、長年見直しをしていない場合には、次のような問題が生じることがあります。
- 保険金額が不足している
- 逆に過大な設定になっている
近年は建築費が上昇しているため、昔の基準のままでは、いざというときに補償が足りないおそれがあります。保険料の負担だけでなく、補償の実効性という観点からも、保険金額の妥当性を確認することが大切です。
2.免責金額(自己負担額)は適切か
免責金額とは、事故が発生した際に管理組合が自己負担する金額のことです。
例えば、免責金額が10万円に設定されている場合、10万円以下の損害については保険金が支払われない、またはその分を差し引いて支払われることになります。
免責金額を高く設定すると保険料を抑えられる場合がありますが、その分、小規模事故が起きた際の管理組合負担は大きくなります。事故の発生頻度や、管理組合の資金状況も踏まえて検討することが重要です。
3.水漏れ事故の補償内容を確認する
マンションで比較的多い事故のひとつが水漏れ事故です。
例えば、次のようなケースが考えられます。
- 給排水管の破損
- 共用部分からの漏水
- 設備機器の故障による漏水
水漏れ事故は、建物の損害だけでなく、居住者間のトラブルや賠償問題に発展することもあります。そのため、火災保険の中でどこまで補償されるのか、漏水原因調査費用や復旧費用が対象になるのかなどを、更新時に確認しておくと安心です。
4.個人賠償責任保険の有無を確認する
保険商品によっては、区分所有者や居住者の賠償責任を補償する個人賠償責任保険を付帯できる場合があります。
例えば、次のような事故です。
- 洗濯機の水漏れで下の階に損害を与えた
- 居住者が共用部分で第三者にけがをさせた
この補償を管理組合の保険に付帯するかどうかは、マンションの実情や、居住者への周知状況なども踏まえて判断する必要があります。各戸での加入状況が不明な場合には、一定の備えとして検討の余地があります。
5.保険代理店と管理会社の関係を確認する
マンションの火災保険は、管理会社が紹介する保険代理店を通じて加入していることが少なくありません。
もちろん、そのこと自体が問題というわけではありませんが、理事会としては「紹介された内容をそのまま受け入れる」のではなく、次のような点を確認することが大切です。
- 補償内容はマンションの実情に合っているか
- 保険料は妥当か
- 他社と比較したうえでの提案か
保険は専門性が高いため、管理会社任せになりやすい分野です。しかし、更新のたびに大きな金額が動くからこそ、必要に応じて複数の見積もりを比較し、理事会として納得感のある判断を行うことが重要です。
まとめ
マンションの火災保険は、管理組合にとって重要なリスク対策のひとつです。とくに近年は保険料の上昇傾向が続いており、更新時の見直しの重要性はこれまで以上に高まっています。
理事会では、次のポイントを確認しておくとよいでしょう。
- 保険金額は適切か
- 免責金額は妥当か
- 水漏れ事故への補償は十分か
- 個人賠償責任保険の付帯が必要か
- 保険会社や代理店の提案内容は適切か
火災保険は、万が一の事故が起きたときに初めて重要性が実感されるものです。だからこそ、更新のタイミングで補償内容と保険料を丁寧に見直し、管理組合として無理のない、実効性のある備えを整えておくことが大切です。
保険料が上がっている今だからこそ、「高くなった」で終わらせず、その内容が本当に適切かを理事会で確認してみてはいかがでしょうか。
更に詳しい情報が知りたい方はエースマンション管理士事務所へお気軽にご相談ください。


