今回は2024年10月25日発行のマンション管理新聞で
住宅金融支援機構のデータが発表されていたため、
紹介いたします。
テーマはマンション共用部分のリフォーム融資件数と
その融資対象となった工事費用の戸あたり工事費用
です。
まずは住宅金融機構が共用部分のリフォームのための
融資を行った件数の推移です。
近年物価高騰の煽りを受け、共用部分のリフォーム
工事費用が高騰しております。
いざ工事を行おうと思っても資金不足の管理組合
が多く、その場合、住宅金融機構のから融資を
受け、大規模修繕工事等を実施する事になります。
その融資件数を以下にまとめます。
【住宅金融支援機構・融資管理組合数】
2011年:180件
2012年:246件
2013年:293件
2014年:293件
2015年:388件
2016年:476件
2017年:444件
2018年:426件
2019年:380件
2020年:343件
2021年:364件
2022年:422件
2023年:513件
【上記結果の所見】
2020年・2021年に融資件数が減少しているのは、
おそらくコロナウイルスの影響で大掛かりな共用部
リフォーム工事を実施する管理組合が少なかった
影響と推測いたします。また、2023年(昨年)に
初の500件を超えており、これは社会情勢の変化と
国内全体の物価高騰、建築工事費用の高騰の煽りを
受けている事が如実に表れる結果となっております。
【補足情報】
融資を受けた管理組合の築年数を確認すると、
最も融資を受けている築年数は築13年~16年という
結果となっております。これは第1回目の大規模修繕
工事のタイミングであり、ここで融資を利用する
管理組合が最も多い事がわかりました。
やはり新築時の修繕積立金設定が安価であるために
第1回目の大規模修繕工事で資金不足になってしまう
と推測いたします。
続いて住宅金融機構が融資した工事の戸あたり
費用についてです。
【融資を利用した工事費用の戸あたり金額】
20戸未満・・・・169.7万円/戸
21戸~40戸・・・142.3万円/戸
41戸~60戸・・・131.8万円/戸
61戸~80戸・・・129.5万円/戸
81戸~100戸・・ 131.6万円/戸
100戸以上・・・ 115.6万円/戸
平均値・・・・・130.1万円/戸
【備考】
上記戸あたり金額の対象工事の大半は足場を掛けて
行う大規模修繕工事と推測されますが、給排水管改修
工事でも融資を行うケースがあり、当該工事費用も
この戸あたり金額に含まれております。
【上記結果の所見】
まずは、21戸未満と100戸以上の戸あたり工事費用が
約50万円の差が出ている点が気になりました。
大きなマンションほど工事費用のスケールメリットが
発揮されやすい特性がありますが、それを根拠づける
結果となりました。また、一部給排水管改修工事等の
大規模修繕工事以外の改修工事費用もここに含まれて
いるとはいえ、全体の戸あたり平均値が約130万円
である事は貴重な情報と感じました。10年程前までは
大規模修繕工事の戸あたり金額目安は100万円と
云われておりましたが、近年の工事費高騰で約3割
程度値上がりし、戸あたり130万円程度と体感して
おりましたので予測値通りの結果と捉えております。
以上です。更に詳しい情報が気になる方は、
エースマンション管理士事務所までお気軽に
ご相談ください。