近年、マンション管理の現場で深刻化しているのが「管理員不足」の問題です。
これまで当たり前のように存在していた“管理員さん”ですが、今後は「常駐管理」が維持できないマンションが増えていく可能性があります。
実際に、
- 「管理員が急に退職してしまった」
- 「次の人がなかなか見つからない」
- 「勤務日数を減らしたいと言われた」
- 「巡回管理へ変更を提案された」
といった相談は、ここ数年で急増しています。
今回は、マンション管理の現場で起きている「管理員不足」の実態と、管理組合が今後備えるべきポイントについて解説します。
なぜ今、管理員不足が起きているのか?
管理員不足の背景には、複数の要因があります。
① 管理員の高齢化
マンション管理員は高齢者の方が担っているケースが多く、70代以上の管理員も珍しくありません。
しかし近年は、体力的な負担や健康上の理由から退職するケースが増えています。
② 人手不足と最低賃金上昇
全国的な人手不足に加え、最低賃金の上昇も続いています。
管理会社としても人件費負担が増加しており、従来と同じ条件で人材を確保することが難しくなっています。
③ 業務負担・クレーム対応の増加
管理員業務は、単なる清掃だけではありません。
- 居住者対応
- ゴミ出し管理
- 業者立会い
- 点検対応
- 苦情受付
- 不審者対応
など、多岐にわたります。
さらに近年は、カスタマーハラスメントに近い対応を求められるケースもあり、「割に合わない仕事」と感じる人も増えています。
「管理員がいる前提」の時代が変わり始めている
これまで多くのマンションでは、
- 週5日勤務
- 日中常駐
- 管理員室常設
が一般的でした。
しかし現在は、
- 常駐管理 → 巡回管理
- 週5勤務 → 週3勤務
- フルタイム → 午前のみ勤務
- 管理員+清掃員兼務
といった形へ変化するマンションが増えています。
特に小規模マンションでは、人件費負担の問題から「無人管理」に近い運営へ移行するケースも今後増えていく可能性があります。
管理員がいないと、実際どうなる?
「管理員がいなくても大丈夫では?」と思われる方もいるかもしれません。
しかし実際には、さまざまな影響があります。
① ゴミ置場が荒れやすくなる
管理員が日常的に整理していたゴミ置場は、無人化すると急激に乱れるケースがあります。
- 分別違反
- 粗大ゴミ放置
- 不法投棄
などが増加しやすくなります。
② 小さな異常に気づきにくくなる
管理員は日常巡回の中で、
- 漏水
- 設備異常
- 照明不点灯
- 不審者
- 破損
などを早期発見しています。
無人化すると、こうした「小さな異常」の発見が遅れる可能性があります。
③ 高齢居住者の安心感低下
高齢者にとって、管理員の存在は「安心感」につながっている場合があります。
日常的な声掛けや、ちょっとした相談窓口としての役割も果たしているため、無人化によって不安を感じる方も少なくありません。
管理組合が今から考えるべき対策
① 管理員業務を見直す
「昔からやっている業務」がそのまま残っているケースは少なくありません。
例えば、
- 不要な掲示物管理
- 過剰な受付業務
- 管理員依存の運営
などを整理することで、業務負担を軽減できる可能性があります。
② DX・IT活用を検討する
近年では、
- 電子掲示板
- アプリ通知
- 遠隔監視カメラ
- スマートロック
などを導入するマンションも増えています。
すべてを人手で対応する時代から、「人+IT」で管理する方向へ変化しつつあります。
③ 巡回管理への備えを進める
将来的に巡回管理へ移行する可能性も想定し、
- 管理仕様書の見直し
- 清掃頻度の整理
- 緊急対応フロー整備
などを検討しておくことも重要です。
“管理員がいるのが当たり前”ではなくなるかもしれない
今後のマンション管理では、「管理員常駐」が維持できないケースは確実に増えていくと考えられます。
しかし重要なのは、「人が減ること」そのものではなく、限られた人材をどう活かすかです。
管理組合としても、
- どこまでを人が担うのか
- どこをIT化するのか
- どこにコストをかけるべきか
を考える時代に入っているのかもしれません。
これからのマンション運営では、「管理員がいる前提」ではなく、“管理員不足時代に対応できる管理体制”を考えていくことが重要になりそうです。
以上です。更に詳しい情報が知りたい方はエースマンション管理士事務所へお気軽にご相談ください。

