近年、多くのマンションで「修繕積立金の不足」が問題となっています。
そのため、修繕積立金の値上げを検討する管理組合も増えています。
しかし、値上げを検討する際に必ず議論になるのが
- 段階的に値上げする方法(段階増額方式)
- 一度に必要額まで引き上げる方法(一括値上げ)
のどちらを採用するべきか、という点です。
本記事では、管理組合の理事会が知っておくべき「段階値上げ」と「一括値上げ」の違いと判断ポイントを解説します。
修繕積立金の値上げが必要な理由
多くのマンションで修繕積立金が不足している理由は次の通りです。
- 新築時の積立金設定が低い
- 建築費・工事費の高騰
- 長期修繕計画の見直し
- 築年数の経過による工事増加
国土交通省の調査でも、修繕積立金が不足しているマンションは少なくありません。
そのため、長期修繕計画を見直すと積立金の値上げが必要になるケースが多いのが実情です。
段階値上げ(段階増額方式)とは
段階値上げとは、
修繕積立金を数年ごとに段階的に引き上げていく方式です。
例
| 年度 | 積立金 |
|---|---|
| 現在 | 6,000円 |
| 5年後 | 8,000円 |
| 10年後 | 10,000円 |
| 15年後 | 12,000円 |
多くの新築マンションでは
この段階増額方式が採用されています。
段階値上げのメリット
① 住民の心理的負担が少ない
一度に大きく値上げするよりも
合意形成がしやすいというメリットがあります。
② 総会で可決しやすい
値上げ幅が小さいため
総会で反対が出にくい傾向があります。
段階値上げのデメリット
① 将来の不足リスクが高い
段階値上げは、
最初の積立金が低すぎるケースが多いため、
- 大規模修繕前に資金不足
- 一時金徴収
が発生する可能性があります。
② 工事費の上昇に追いつかない
近年は建設費が上昇しており
将来の計画が想定より高額になるケースも増えています。
一括値上げとは
一括値上げとは、
必要な積立金額まで一度に引き上げる方法です。
例
| 現在 | 改定後 |
|---|---|
| 6,000円 | 12,000円 |
一括値上げのメリット
① 将来の資金不足リスクを減らせる
長期修繕計画に合わせて
必要な積立金を確保できる可能性が高いです。
② 管理組合の財政が安定する
資金不足による
- 一時金徴収
- 借入
のリスクを減らすことができます。
一括値上げのデメリット
① 総会で反対が出やすい
一度に大きく値上げすると
住民の負担感が大きくなるため
総会で否決されるリスクがあります。
理事会が検討すべき判断ポイント
修繕積立金の値上げ方法を検討する際は
次のポイントを確認することが重要です。
① 長期修繕計画の資金計画
まずは
- 修繕費用
- 積立残高
を確認します。
② 将来の資金不足リスク
次のような場合は注意が必要です。
- 大規模修繕前に残高不足
- 一時金徴収の可能性
③ 区分所有者の負担能力
高齢化しているマンションでは
急激な値上げが難しい場合もあります。
実務上よくある解決策
実務では次のような方法が多く採用されています。
① 一部一括+段階値上げ
例
6,000円 → 9,000円 → 12,000円
② 数年で必要額に到達する計画
10年かけるのではなく
3~5年程度で必要額に到達させる方法です。
まとめ
修繕積立金の値上げには
- 段階値上げ
- 一括値上げ
の2つの方法があります。
しかし重要なのは
長期修繕計画に基づき、将来の資金不足を防ぐことです。
理事会では
- 長期修繕計画
- 資金計画
- 区分所有者の負担
を踏まえ、適切な値上げ方法を検討することが重要です。
以上です。更に詳しい情報が知りたい方はエースマンション管理士事務所へお気軽にご相談ください。

