今回はマンションの欠陥についてお話ししていきます。

マンションの欠陥とは、施工不良等が原因で本来の安全性・耐久性・機能性を保有していない状態をいいます。

具体的にどのような事象が欠陥として発覚する事があるのか、私の方でこれまで経験した事例をご紹介いたします。

1.鉄筋のかぶり厚不足

鉄筋コンクリート造ではコンクリート内部に鉄筋を配置し、建物の強度を上げております。この鉄筋がコンクリート表層より浅い位置に設置されていると、鉄筋が空気及び雨水に触れやすく、腐食しやすい状況となります。そのため、一定の被り厚さを確保する事が建築基準法で定められております。ちなみに被り厚さの最低値は、耐力壁以外の壁・床で20㎜以上となっております。もし、外壁塗膜が剥がれており、下地コンクリートに鉄筋が露出している状況であれば、新築時の施工不良を疑うべきと思います。

2.構造スリットの未設置

構造スリットとは、柱と壁を構造的に分離し、隙間を開ける事で地震等の水平方向の揺れが発生した場合に柱や梁への損傷を抑える役割を担っております。新築時の設計図面に構造スリットの設置が計画されているにも関わらず、現場の施工では構造スリットが未設置というケースが稀にあります。なぜ、構造スリットの未設置が建物の引渡し時に発見できないかというと、表面上、シーリング材が打設されているため、その裏側に耐震スリットが設けられている見た目となり、発見が遅れるという仕組みです。新築から数年後に縦に直線的なひび割れが発生していたり、柱や梁の周辺に各所共通してひび割れが発生しているようだと耐震スリットの未設置を疑った方が良いと思います。

3.コンクリート内部の遺物混入

信じられない欠陥ではありますが、新築時の工事現場でコンクリートを流し込む際、ゴミや工具が混入した状態で躯体が作られてしまうケースがあります。また、この事象は現場でコンクリートを打設する鉄筋コンクリート造に発生する事象と思われがちですが、工場で造られたコンクリートを現場で接合するプレキャストコンクリート造においても例外ではありません。私自身の経験でプレキャストコンクリート造の外壁タイルを剥がしてみると、表面に金槌のような工具が混入していた事例を目撃した事があります。

4.外壁タイルの著しい浮き・剥落

近年のマンションは外壁タイル仕上げが主流であります。このタイルの剥落事故や著しいタイル浮きで安全性に欠けているマンションが存在いたします。この問題の原因で最も多いのが、下地コンクリートの目荒らし処理(タイルの接着性を上げる下地処理)が不十分である事です。ツルっとしたコンクリートにタイルを張ったがために、数年後、10%~20%以上のタイルが浮く事象のマンションがまれにあります。新築して5年以内にも関わらず、地震や台風でタイルが剥がれた場合は、外壁タイルに著しい不具合がないか、屋上からブランコを吊るなどし、外壁タイルの打診調査を行うべきと考えます。


以上です。更に詳しい情報が知りたい方はエースマンション管理士事務所までお気軽にご連絡ください。

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