管理会社の質は、「料金」よりも「業務の中身」で決まります。しかし、管理組合から見えるのは月次報告書と管理員さんの様子くらいで、実態を把握するのは難しいのが現状です。この記事では、管理会社の業務品質を“見える化”するためのチェックリスト(2025年版)を、専門家の立場からわかりやすく整理しました。管理会社の変更を検討している組合だけでなく、現行の管理会社の質を客観的に評価したい理事会にもご活用いただけます。

1.基本サービスの質(フロント担当のレベル)

① フロント担当者の「レスポンス速度」

・理事会メールへの返信が48時間以内
・緊急対応は当日中に連絡があるか
・問い合わせに対して「宿題にして放置」がないか

ここが遅い管理会社は、総じて品質が低い傾向があります。

② 理事会資料の質

・提案書や議案書に根拠資料が添付されているか
・過去の経緯や、他の選択肢との比較案が示されているか
・雑な誤字脱字や記載ミスが多くないか(品質の象徴)

「資料のレベル」は、フロント担当者の力量が最も表れる部分です。

③ フロント担当者の「担当物件数」

一般的には、7~12物件前後が一般的と言われます。
15件以上を抱えている場合は、次のような影響が出やすくなります。

  • 現地巡回の頻度が減る
  • 資料作成が後回しになり、内容が薄くなる
  • トラブル対応や相談へのリアクションが遅れがちになる

2.管理員(清掃員)の品質

④ 管理員の勤務態度・報告内容

・挨拶や身だしなみがきちんとしているか
・清掃箇所のムラや「今日はやっていない場所」がないか
・「気になる点」を自主的に理事会やフロントに報告してくれるか

管理員の質は、マンション管理品質の“土台”です。

⑤ 点検・清掃の実施状況が可視化されているか

・日々の清掃チェックリストや点検記録簿が残っているか
・写真付きの報告や、クラウドでの共有など「見える化」がされているか

写真なし・記録なしの運用は、トラブルの温床になりやすい運用です。

3.月次報告の品質

⑥ 点検結果が具体的に書かれているか

【悪い例】
「点検しました。異常なし。」

【良い例】
「受水槽の浮き球に摩耗を確認。次回の修繕計画の中で交換を推奨します。」

“何を見て、どう判断したのか”という具体性が、最も重要なポイントです。

⑦ 修繕箇所の優先順位や提案があるか

単なる“事後報告”に終始するのではなく、

  • 軽微な修理の提案
  • 中長期的な劣化予測
  • 予防保全としての提案

といった「今後を見据えたコメント」があるかどうかで、会社の姿勢が見えてきます。

4.コスト管理・見積もりの透明性

⑧ 見積書の内訳が明確か

次のような項目が、きちんと分かれているかを確認します。

  • 工賃
  • 部材費
  • 諸経費(特に「○○費一式」は要注意)

⑨ 相見積もりを嫌がらないか

相見積もりの取得を露骨に嫌がる場合、

  • 自社(系列)施工業者との価格が固定されている
  • マージンが大きく、比較されると困る
  • そもそも競争環境に慣れていない

といった可能性も考えられます。

5.緊急対応・トラブル対応力

⑩ 24時間受付の「実効性」

・夜間でも担当者にきちんとつながるか
・設備故障時に現地到着までのおおよその目安があるか
・対応後の報告が、翌営業日までに届いているか

⑪ 過去のトラブル対応記録が残っているか

管理会社の力量は、「問題が起きたとき」に最も現れます。
水漏れ・停電・共用設備の故障・クレーム対応などの記録が残っているか、しっかり確認しておきたいところです。

6.コンプライアンス・契約管理

⑫ 管理委託契約書の更新が適切に行われているか

・委託範囲があいまいなまま、10年以上放置されていないか
・国交省の最新ガイドラインに沿った内容になっているか
・業務範囲と料金のバランスが取れているか

⑬ 個人情報の取扱いが適正か

・管理員が不用意に鍵を持ち歩いていないか
・書類の保管場所・閲覧権限が整理されているか
・緊急連絡網などの情報が漏洩していないか

7.長期修繕計画の質(非常に重要なチェックポイント)

⑭ 長期修繕計画が「使えるレベル」か

次のような点を確認してみてください。

  • 30年以上の期間をカバーしているか
  • 実際の建物の劣化状況を踏まえた修繕項目になっているか
  • 修繕積立金の推移と収支が現実的か
  • 工事単価などが2025年時点の水準に更新されているか

「テンプレのコピペ計画」は、内容を見ればすぐに分かります。

⑮ 修繕積立金の「値上げ必要性」を事前に指摘してくれるか

値上げの必要性をあえて言わない管理会社は、
「揉めるのを避けたい」「責任を負いたくない」という心理が働いていることもあります。
厳しい内容であっても、必要なことはきちんと伝えてくれるかどうかが、信頼できるパートナーかどうかの分かれ目です。

8.透明性・ガバナンス

⑯ 議事録が適切に作成されているか

・決議内容と賛否が明確に記載されているか
・重要な説明や質問・回答の概要が残っているか
・あいまいな表現や「後で争いになりそうな書き方」がないか

⑰ 理事会・総会の進行支援のレベル

・資料準備が丁寧で、説明が分かりやすいか
・難しい議題は、外部専門家の活用も含めて提案してくれるか
・必要に応じて「この議案は否決される可能性があります」といった助言があるか

9.管理会社変更を検討すべきサイン

次のうち、複数が当てはまる場合は、管理会社変更の検討ラインと言えます

  • フロント担当の入れ替わりが頻繁で、引き継ぎも不十分
  • 月次報告書の内容が薄く、形式的なものにとどまっている
  • 不具合への初動が遅く、理事会からの指摘がないと動かない
  • 理事会の相談や意見を軽視するような言動がある
  • 清掃・点検の品質が安定せず、居住者からの不満が多い

1つ程度なら改善要望で済みますが、3つ以上重なると、体質的な問題であることが多いと感じます。

以上です。更に詳しい情報が知りたい方はエースマンション管理士事務所へお気軽にご相談ください。

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