1. 共用部分の「雑排水管」とは?
マンションの排水管は、大きく次の2つに区分されます。
- 専有部分:各住戸内のみで使用する排水管
- 共用部分:
- PS(パイプスペース)内の縦管
- 床下・天井裏の横引き管
- 屋外の埋設排水管
このうち、複数住戸が共同で使用する雑排水管は、
管理組合が維持管理・修繕を行う「共用部分」に該当します。
2. なぜ雑排水管の改修が必要になるのか
理事会で実際に多い相談は次のようなものです。
- 下階天井からの漏水
- 排水の流れが悪い・逆流する
- 定期清掃をしても詰まりが解消しない
主な劣化要因
- 経年による腐食・摩耗
- 油脂・洗剤カスの蓄積
- 勾配不良による排水滞留
特に築30年前後のマンションでは、
👉「清掃」から「改修」への判断が必要な時期に入ります。
3. 共用雑排水管の主な改修工法
① 更新工法(配管の入れ替え)
- 既存配管を撤去し、新しい配管に交換
- 耐久性・信頼性が高い
- 工事費が高く、専有部への影響が大きい
② 更生工法(ライニング工法)
- 既存管の内側に樹脂を形成
- 工期・費用を抑えやすい
- 劣化状況によっては施工不可
👉 工法選定は「管の状態次第」
先に工法ありきで検討するのは危険です。
4. 工事の前に必ず行うべき調査
理事会が最初に取り組むべきは、改修工事ではなく調査です。
- 管内カメラ調査
- 腐食・閉塞箇所の特定
- 更生工法の可否判断
📌 注意点
- 一部不具合=全面更新とは限らない
- 逆に「今は大丈夫」でも要注意なケースもある
5. 排水管「更新工事」に伴う最大の難点
― 専有部分の内装解体が発生する可能性 ―
更新工法を採用した場合、
共用部分の工事であっても、専有部分への立ち入り・内装解体が必要になるケースがあります。
なぜ解体が必要になる?
- 排水管が水回り設備の背面・床下を通っている
- PSだけでは作業が完結しない
その結果、
- 洗面化粧台・キッチンの一時撤去
- ユニットバス床の開口
- 天井・床の部分解体
といった対応が発生します。
6. 居住者トラブルにつながりやすいポイント
特に注意すべきなのが、復旧範囲の認識違いです。
- 管理組合:原状復旧のつもり
- 居住者:新品同様になると思っていた
このズレが、工事後のクレームにつながります。
7. 費用負担の考え方(原則)
- 更新工事に必要な
- 解体
- 配管工事
- 原状復旧
→ 管理組合負担(修繕積立金)
- 居住者の希望による
- 内装グレードアップ
- 設備更新
→ 専有者負担
👉 事前に書面・説明資料で明確化することが必須です。
8. 理事会が準備すべき実務対応
- 工事範囲・解体箇所を示した説明資料
- 工程表(断水・使用制限時間の明示)
- 住戸内工事に関する同意書
- 想定Q&A(復旧・補償・立ち入り)
9. まとめ|排水管改修は「段取り」で評価が決まる
- 調査 → 工法選定 → 説明 → 合意形成
- 特に更新工法では専有部影響の説明が最重要
共用雑排水管改修は、
早すぎても無駄、遅すぎればトラブルになります。
専門的な判断が必要な場面こそ、
第三者の視点を入れることが、管理組合を守る近道です。
更に詳しい情報が知りたい方はエースマンション管理士事務所へお気軽にご相談ください。

