なぜ今、外部管理者方式が注目されるのか
マンションの理事や理事長を担う人が年々減ってきています。高齢化や多忙化により「役員になりたくない」「理事長は荷が重い」といった声は増加傾向にあり、管理組合の運営に支障をきたすケースも珍しくありません。こうした背景から、近年「外部管理者方式(理事長代行制度)」が大きな注目を集めています。
外部管理者方式とは?基本モデルと種類
外部管理者方式とは、区分所有法に基づく「管理者」に外部の専門家や管理会社を選任し、理事長の役割を担わせる仕組みです。これにより、理事会役員が不足していても組合運営を継続できます。モデルとしては以下のようなパターンがあります。
- 理事長型(管理会社や専門家が理事長に就任)
- 理事会監督型(理事会は存続しつつ、外部者が実務を代行)
- 総会監督型(理事会を置かず、総会が直接監督)
最新の法制度・ガイドライン改正
2024年6月、国土交通省は「マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドライン」を策定しました。ここでは、外部管理者を導入する際の留意点が具体的に示されています。例えば、通帳や印鑑の適切な管理、監事設置、利益相反の防止、選任・解任手続きの透明化 などが挙げられます。
さらに2025年には「令和7年法律第47号」として区分所有法や管理適正化法の改正が成立し、2026年4月の施行が予定されています。これにより外部管理者方式の法的根拠がより明確になり、導入環境が整備されつつあります。
導入メリットと留意点・リスク
メリット
- 役員なり手不足の解消、理事会負担の軽減
- 専門家による法令遵守・適切な管理の実現
- 中立的な判断を期待できる(条件次第)
リスク・注意点
- 利益相反の危険(管理会社が同時に受注者となるケース)
- 外部管理者への報酬負担増と管理費の増額
- 管理規約改正など区分所有者の合意形成が不可欠
- 運営の透明性・監視体制が弱まるリスク
最近の報道・動き
直近の報道では、外部管理者方式の普及に対して「悪用の可能性」「チェック機能の不足」への懸念が取り上げられています。例えば、ダイヤモンド誌の記事では「法の抜け穴」や「丸投げ方式」の問題点が指摘されました。一方で、三菱UFJ信託銀行など金融機関が外部管理者業務に参入する動きもあり、今後は大手事業者による参入が増えると予測されます。
導入ステップとチェックリスト
外部管理者方式を検討する際には、以下のプロセスを踏むことが重要です。
- 管理規約改正の準備(総会決議が必要)
- 候補者の選定(専門性・中立性・実績を確認)
- 監事制度・説明責任体制の整備
- 契約内容に解除条項や情報公開義務を明記
まとめ
外部管理者方式は、役員不足に悩む管理組合にとって有力な選択肢です。しかし、メリットだけでなく利益相反や透明性確保のリスクを理解し、適切な制度設計とガバナンスを伴って導入することが不可欠です。「便利だから導入」ではなく、「組合の体制に合わせて慎重に判断する」ことが、マンションの資産価値と安心を守るカギとなります。


