「管理会社を変更したのに、前より良くなった気がしない…」
「担当者の品質が変わらない」
「思ったほど改善提案がない」
こうした相談は、50戸前後の中小規模マンションの理事会から特によく聞かれるものです。見積価格が下がること自体は成功ですが、“品質改善”への評価が曖昧なまま契約に至っているケースが少なくありません。今回は、管理会社変更後の“期待外れ”が起きる原因と、理事会でできる対策をまとめました。
■期待外れが起きやすい背景
管理会社変更では、管理組合は下記を期待しがちです。
- 対応が早くなる
- 提案が増える
- 担当者の質が高くなる
- トラブル時の対応が改善される
- 管理費削減ができる
しかし、見積比較時に確認されるのは主に以下です。
- 管理委託料額
- 管理仕様
- 会社規模
- 担当員人数・業務工数・点検及び清掃回数
つまり、期待値と比較ポイントが一致していない状態で契約していることが多く、
「思っていた内容ではなかった」 となる原因です。
■実際に起きやすい“期待外れ”の内容
(1)提案が聞こえてこない
変更前の営業担当は積極的な提案をしていたのに、
就任すると年間提案がない――というケースが多発します。
理由はシンプルで、
✔営業担当 ≠ 現場担当
✔現場担当は受託実務が中心
✔提案ベースの評価文化が会社ごとに異なる
という背景があります。
(2)担当者レベルが想定より低い
営業時の担当予定者が
※異動・退職で変わるケースも多くあります。
変更理由の多くは
「担当者の質改善」であるにも関わらず、
実際は担当変更後の連絡の遅れや現地状況把握不足が目立つことがあります。
(3)引継ぎ不備による業務遅延
特に起きるのは以下です。
- 点検結果の履歴が整理されていない
- 修繕履歴が引き継がれていない
- 保守契約情報が不明
- トラブル処理履歴が残っていない
その結果、以下の遅れを招きます。
✔現状把握に時間
✔提案開始の遅延
(4)修繕課題への着手が遅い
例えば、
- 鉄部塗装の劣化
- 給水ポンプ更新時期
- 防水の経年劣化
など「次に対応すべき項目」の助言まで遅れるケースが多いです。
理事会からは、
「前任会社の方が動きは早かった…」となることも珍しくありません。
■なぜ期待外れが発生するのか(原因分析)
原因は管理組合側と管理会社側の両方に存在します。
<管理組合側の原因>
①期待値を定量化していない
例)
“改善提案をしてほしい”
→ 月次・年次提案の件数基準がない
②優先順位の整理をしていない
例)
【理事長】安全性優先
【修繕委員】長期修繕計画優先
【一般組合員】負担額抑制
など利害が異なるケース
③問題点を明文化していない
例)
「担当者が遅い」
→ 具体例を残していない
<管理会社側の原因>
①営業時の情報引継ぎが不十分
→現場担当者は“白紙状態”で就任
②既存物件との差異に気づけていない
例)
築15年〜と築35年〜物件の違い
→業務判断が遅れる
③評価制度が会社ごとで異なる
提案数や改善実績が評価スコアに反映されない会社は行動量が低い傾向あり
■管理会社変更後に理事会が行うべき行動
★3か月以内でやること
■①担当者の状況理解度を確認
確認例:
- 定期点検の立会履歴
- 修繕履歴の理解状況
- ネットワーク図面の把握
- 現地巡回頻度
👉 現地で同行しながらヒアリングが推奨
■②月次報告書の質で判断する
評価例:
- 日付漏れ
-業者報告の転記誤り
-是正履歴の明確化有無
月次報告は最速の評価指標になります。
★半年でやること
■①改善提案の件数を確認
年2〜3回程度は最低ライン
■②住民苦情対応の傾向分析
例)
- 苦情受理日
- 処理完了日
- 対応方法
これにより
「遅いのか」「案件が難しかったのか」が可視化できます。
■③中長期課題の着手状況を確認
例)
- 給水ポンプ寿命対応
- 外壁修繕の目安
- 消防設備整備
■まとめ
管理会社変更はスタートです。
変更後3か月、6か月で判断基準を明確化することで、
「期待外れ」ではなく
**“改善につながる管理会社との付き合い方”**が可能になります。
理事会としては、
□手続き後の運用
□継続監査
□評価指標の明文化
が大きなポイントです。
管理会社を“管理する側”の視点で
評価基準を持つことが成功の分岐点になります。
以上です。更に詳しい情報が知りたい方はエースマンション管理士事務所へお気軽にご相談ください。


